刈穂

かりほ

秋田県 刈穂酒造

秋田県大仙市神宮寺字神宮寺275

刈穂酒造について

刈穂酒造となっている蔵づくりの建物は、1850年(嘉永3年)に建てられた歴史あるものです。ペリーの黒船が浦賀に来航する3年前、鎖国していた日本の歴史が大きく動き始める時期でした。秋田県随一の雄物川の畔に建つ蔵は水運を利用した物流の拠点となっていました。

1913年(大正2年)、隣村で酒蔵を営む伊藤恭之助がこの歴史ある蔵を譲り受け、仲間と共に酒造業を始めました。ここに刈穂酒造の歴史が始まります。

近隣で栽培される良質な原料米を使用した地道な酒造りをすすめ、太平洋戦争中は一時の中断もありましたが、戦後復活してからも早くから高品質酒の醸造にシフトし、現在は醸造される全ての酒が特定名称酒となっております。

刈穂の酒名は、飛鳥時代の天智天皇(626年-671年)の和歌『秋の田のかりほの庵の苫をあらみ我が衣手は露にぬれつつ』に由来します。この詩は田畑を耕す農民の生活を思いやった和歌といわれており、酒造りをするものにとって深い意味を持っています。

蔵の風景

刈穂酒造は、秋田県有数の穀倉地帯である仙北平野に位置します。四季のはっきりした気候で、夏~秋は温暖湿潤で原料となる酒米の栽培に適し、冬は寒冷で雪が多く酒造りに適しているという条件が揃っています。蔵は奥羽山脈からの水脈が注ぐ雄物川のほとりにあり、この川は河岸に豊かな水と肥沃な土壌をもたらし、蔵周辺は農業地帯となっています。刈穂の仕込水は奥羽山脈に源を発する自然水が地下に浸透し、蔵周辺の砂礫層を通過して一年中豊富に湧き出ます。蔵敷地内の3本の井戸から汲み上げられるこの水は天然のミネラルを含む中硬水で、日本酒の醗酵を順調に進め、香味あざやかなキレのある味わいに仕上げる性質があります。

刈穂の酒造り

刈穂の酒は熟練した杜氏と新しい感性を持った若手の蔵人、そして繊細な感覚を持った女性蔵人によって生み出されます。3者の技術と感性が融合して、伝統的手法から新しい味わいの酒が醸し出されます。刈穂の酒造りの特徴は、蔵伝統の山廃仕込みです。天然の乳酸菌のはたらきと酵母によって約60日間の低温長期醗酵を行い、多様な味成分とキメ細やかな旨味を生み出します。山廃仕込みの酒は料理との相性が良く、食材の味を引き立てながら心地よい喉越しを感じさせます。また、蔵内に生息する自然酵母での仕込みも行っています。

刈穂の酒造りの最後を締めるのが伝統の酒槽(さかふね)しぼりです。酒槽しぼりは非常に手間がかかるため、造られるすべての酒を槽でしぼる蔵は全国的にも稀です。蔵に現存する6台の槽で、無理な圧力をかけられずにていねいにしぼられた酒は、刈穂の特徴で力強い味わいと香味のキメ細やかなバランスを保ちながら貯蔵され、出荷されます。


                

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