2022年春、栃木県初となるウイスキー蒸留所「日光街道小山蒸留所」が誕生します。国登録有形文化財にもなっている西堀酒造の敷地内に、創業当時からの精米蔵を蒸留所へと改築。木造建築の味わいを残す佇まいと、堆積された刻が醸す、どの蒸留所とも違う匂いがあります。
そもそも、日本酒蔵がなぜウイスキーづくりを始めたのか。ひとつには地方の地酒文化を守り、魅力ある酒蔵を存続させるため時代に即した酒造りのスタイルを取り入れる必要があったから。冬場は日本酒、夏場は蒸留酒。季節に適した酒と集中的に向き合うことで持続可能な酒造りを目指そうと考え。蒸留酒、中でもウイスキーには底知れない可能性を感じ、その深淵に飛び込んだのです。
つくりたいのは日本酒蔵ならではのウイスキー。
清酒酵母、吟醸米の米粉、日光山系の自然伏流水…
今ここにあるものを活かしたウイスキーづくりのブリコラージュで、ここでしかつくれない独自性を打ち出したい!
斯くして、日本酒造りの技術と思想と素材を取り入れたジャパニーズ・ウイスキーの全力創造が始まった…
熟成庫では、2023年にニューポット、ニューボーンのお披露目を済ませたウイスキーが、2025年の本格デビューを待っている。このウイスキーが、日本酒という文化と歴史を繋ぎ、
未来を照らしてくれるでしょう。
小山市は、二荒霊水をルーツとする日光山系の自然伏流水に恵まれ、江戸時代より日本酒造りが盛んでした。水質は程よく硬い「中硬水」。一般的に日本酒は軟水よりも硬水が造りやすいと言われ、逆にウイスキーは軟水が多く使われている。しかし、風土が溶け込んだこの水でウイスキーがつくりたい。幸運なことに西堀酒造創業当時から残る蔵の井戸には、いまも涸れずに全てをまかなえるに足る豊かな水量を今も湧き続けていてくれる。 日本酒のように低温で時間をかけて発酵させることで、中硬水ならではの甘い花のような吟醸香が出せるのです。
元来、清酒酵母はウイスキーづくりには不向きと言われ、ほとんどの蒸留所は海外産のウイスキー酵母を使っています。しかし、日本酒蔵ならではのウイスキーと謳うのであれば、やはり主役は清酒酵母。清酒酵母のみを使った製造方法はいまだ確立されておらず、業界内にも公開知見は無し。モルトウイスキーの原料となるノンピート麦芽は、清酒酵母の特性を生かすために細かめに粉砕したり、グレーンウイスキーに使う穀類と米粉の割合も様々なパターンで実験したり…。
技術的な難易度は想像以上に高く試行錯誤を重ね、清酒酵母の扱いには日本酒造りで慣れていると言う自負がある。この技術をウイスキーに応用できれば、ジャパニーズウイスキーの可能性は無限に広がるでしょう。
設備に関しても手さぐりでのスタート。清酒酵母との組み合わせを考え、自らひとつひとつ確かめながら組み上げていく。選んだのは国産メーカーの糖化槽や蒸留器。メンテナンスの利便性に加え、改造などで独自の面白さが出せると考えたからだそう。マッシュ・タン(糖化槽)は、麦芽だけでなく米粉の糖化も想定し、どんな温度にも温度調節できるステンレス製を採用。ウォッシュ・バック(発酵槽)には通常、木製やステンレス製を用いるが、日本酒製造で慣れ親しんだホーロー製を。清酒酵母を少し低めな温度で時間をかけて発酵させれば、吟醸香が際立つ。日本酒蔵が誇る繊細な技で、酵母の味わいを最大化できる。そして最もこだわったのが蒸留器。常圧蒸留はもちろん、清酒酵母の特長をより引き出すために、減圧蒸留にも対応できるステンレス製のものを藪田産業と一からつくりあげた。減圧することで沸点が下がり、エステル系の軽い香りが抽出できるので、フルーティーでやさしい酒になる。ネック内部には特殊形状の銅板加工が施され、銅製ポットスチルの役割も果たしている。加熱方式も直接加熱と間接加熱の両方に対応。ウオッカやジンなどのスピリッツ製造も可能にするまさにハイブリットな頼もしい蒸留器が誕生した。
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#限定商品 #10/13入荷
【ウイスキー】日光街道 ニューボーン【モルト】58度 200ml
¥4,400(税込)
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#限定商品 #10/13入荷
【ウイスキー】日光街道 ニューボーン【グレーン】58度 200ml
¥4,180(税込)
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